NFP |
NFPとはニアフィールドパターン(Near Field Pattern)の略語で、近視野像ともよばれる。光ファイバやレーザダイオードなど発光素子において、出射端面でのスポット光強度の面分布。シングルモードファイバのMFD測定や、GIマルチモードファイバの励振状態の評価、発光素子の発光点サイズ測定等の目的でNFPの観察が行われる。 |
FFP |
FFPとはファーフィールドパターン(Far Field Pattern)の略語で、遠視野像とも呼ばれる。光ファイバやLDなど発光素子からの出射光の、出射端面から十分離れた場所での強度(角度)分布。シングルモードファイバや発光素子の出射光拡がり角測定やSIマルチモードファイバの励振状態の評価等でFFPの観察が行われる。また、以前は通信帯波長(1.31/1.55µm)で高精度の2次元撮像素子の入手が困難であったため、通信帯SMFのMFD測定はFFP測定データより算出する方法が規格化されている。 |
f-θレンズ |
ある角度θでの入射光の結像位置の像高がf×θとなるように設計されたレンズ。等距離射影になるような樽型の歪曲収差を持っている。角度変化量に対する結像位置変化量がリニアな関係となるため、FFP計測用レンズやレーザ描画装置のレンズなどに使用される。 |
対物レンズによるFFP測定 |
当社製の光学系(M-Scope Type D)は、NFPとFFPを同時に測定が可能。この光学系ではf-θレンズに換えて、対物レンズを使用してFFPの測定を行っている。但し、対物レンズを使用していることで視野の周辺部ではf-θ特性からずれが生じるため、若干の測定精度低下がある。 |
ビームサンプラ― |
光学ガラスや結晶基板などの表面反射を利用して少量の光を反射させ、モニター用などの光サンプリングを行うための素子。 平行平板またはウェッジ板タイプがあり、ウェッジタイプでは裏面の反射による影響を防ぐことが可能。当社では、基板表面反射の利用ではなく、誘電体多層膜ミラーを使用して少量の光を透過させる方式のビームサンプラーがある。 |
ビームダンパー |
高出力レーザビームなどを安全に遮断する光学装置でビームブロックやビームトラップとも呼ばれる。内部の構造や吸収特性をもつ素材を使用し、レーザ光を吸収し熱に変換することにより光ビームを終端する。当社では、ハイパワー光のビームプロファイル解析時にサンプリング光以外の不要となった光を終端させるために使用している。 |
N.A. |
numerical apertureの略。開口数と呼ばれる。
- ●レンズの場合
- レンズの開口数 N.A. は、物体から対物レンズに入射する光線の光軸に対する最大角度を θmax、物体と対物レンズの間の媒質の屈折率をn(レンズの屈折率ではないので注意)として、次の式で表される。
- ●光ファイバの場合
- 光ファイバの開口数N.A.は、光がコア内で全反射する限界の入射角度を最大受光角 θmaxのとき次式で与えられる。(出射側の屈折率が1の場合。) この範囲以外の角度から入射した光は光ファイバ中を伝搬できない。
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W.D. |
Working distanceの略。作動距離と呼ばれる。レンズ先端から被写体までの距離。 |
偏光 |
偏光とは、光の振動方向が偏った状態を指す。光は横波(進行方向に垂直な面内で電場や磁場が振動)であるため、完全偏光の場合には直交する2つの振動成分の合成で表すことが可能。振幅の大きさが等しい直交する2つの直線偏光の合成で偏光を表す場合、位相差が0もしくは180°(π)の状態では直線偏光、位相差が±90°(π/2)では円偏光となり、その他の位相差の場合は楕円偏光となる。
- ●偏光消光比
- 直線偏光がどの程度完全に近いのかを表す値として、偏光消光比(PER:Polarization Extinction Ratio)が用いられる。偏光消光比は、測定光を偏光子に透過させ、その偏光子を回転させて出力光量を測定したときの、最大と最小値の比率として測定される。また、偏光消光比(PER:Polarization Extinction Ratio)は、一般的にdBで表すことが多く次式で算出される。
- ●偏光度
- 実際の偏光状態は、完全偏光(直線偏光・円(楕円)偏光)と無偏光(ランダム)が混合した状態となる場合が多い。このような偏光状態を表す指標として偏光度(DOP:Degree Of Polarization)があり、ストークスパラメータを使用して下記のように定義される。
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偏光子 |
光を透過させることにより直線偏光が得られる光学素子。偏光子の性能は、透過した光の偏光消光比の値によって表す。 |
偏光依存性と偏光依存性補償 |
ガラス基板やビームスプリッタなどに光を斜め入射した場合の表面反射(透過)特性は、一般的にP偏光とS偏光で異なる。そのため、これらのBSを使用した光学システムでは、入射光の偏光状態が変化した場合に反射/透過光の強度に変動が生じてしまう(偏光依存性)。この偏光依存性を広い波長範囲で誘電体多層膜などの設計により解消するのは非常に困難である。そこで、同特性の2枚のビームスプリッタ各々の傾き方向を直交方向に配置して使用することにより、初段のBSでP偏光であった成分は2段目のBSでS偏光に、初段のBS面でS偏光であった成分は2段目のBS面ではP偏光となって進むため、偏光特性を補償することが可能となる。ビームスプリッタを反射-反射で使用しても透過-透過で使用しても、同様にBSの傾き方向の直交させることにより、偏光特性の補償することが可能。 |
光ファイバの導波モード |
ファイバ内を伝搬する光の導波モード(横モード)は、コアの寸法、コア・クラッドの屈折率と波長により変化する。ファイバの種類によってモードの数は異なり、1から数千以上のモードを持つものもある。一般的には、シングルモードファイバ(基本モードのみ伝搬)とマルチモードファイバが存在する。
- ●規格化周波数V
- 光ファイバ内に存在できるモード数は、規格化周波数V(Vパラーメータ)により求めることができる。規格化周波数Vは下記の式で定義される。
- ●カットオフ周波数λc
- ファイバの屈折率分布がステップインデックスの場合、V≦2.405となる条件では基本モードのみが励振されるシングルモードファイバとなる。この時の波長λcは(理論)カットオフ波長と呼ばれる。
- また、正規化周波数が十分に大きいとき、ステップインデックス型マルチモードファイバの伝搬可能なモード数は下記の式で近似できる。
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SMF(シングルモード光ファイバ) |
使用する光の波長で基本モードのみ励振される特性を持つ光ファイバ。 |
MMF(マルチモード光ファイバ) |
使用波長で複数のモードが励振可能なファイバ。主に下記2種類の異なる構造のマルチモードファイバがある。
- SI型MMF : コアの屈折率分布がフラットな特性をもつマルチモードファイバ。
- GI型MMF : コアの屈折率分布が中心から周辺に行くほど漸減する特性を持つマルチモードファイバ。SI型MMFに比べ、モード分散(モードの違いによる伝搬速度の差)が少ないため信号パルスの広がりが少なく抑えられより長距離の伝送が可能。
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挿入損失 |
光部品への入射パワーと光部品からの出射パワーの比率で下記の式で算出する。光部品を光路内に挿入したときの光パワーの減衰量を表す。
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シリコンフォトニクス |
半導体製造の微細加工技術を利用してSi基板上に光回路(光導波路、光スイッチ、波長フィルタ、光変調器、受光器、発光器)を作製する技術。そのため、同一チップ上に光学的および電子工学的な構成要素を集積したハイブリッドデバイスの作製が可能となる。
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シリコン導波路 |
Si細線導波路はSOI 基板上にサブミクロンサイズの厚さ・幅のSi細線導波路を作製することにより構成された光回路。Si細線導波路は光の閉じ込め効果が非常に強いため、mµオーダーの曲げ半径が可能となり非常に小型の光回路が実現できる。一般的に導波路への光の入出射には、スポットサイズ変換器やグレーティングカプラが用いられる。パッシブデバイスへの応用として、光カプラやマッハツェンダー干渉計を使用した光スイッチ、リング干渉計を使用した波長フィルタなどが実現できる。
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ポリマー光導波路 |
光導波路の材料としてポリマーを使用して製作された光導波路。使用波長としてはVCSELとのマッチングが良好な850nm帯が一般的である。構造としてはSIタイプのマルチモード導波路が一般的ではあるが、GIタイプやSMFタイプのものの開発も進められている。短距離の光配線板や光電気混載基板などへの応用が期待されている。
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LD(Laser Diode)光源 |
導波路構造となった活性層(発光層)の両端面反射をキャビティとして利用してレーザ発振をさせるファブリペロー型(Fabry–Pérot) LD、回折格子を利用し単一波長でのレーザ発振を行う分布帰還型(DFB:Distributed FeedBack Laser)LD、基板に垂直方向に共振器が形成されている垂直共振器面発光レーザ(VCSEL : Vertical Cavity Surface Emitting Laser)などがある。LD素子からのレーザ光を光ファイバに結合させてファイバ出射型とし、温調などを出力安定化光源としたものが多数販売されている。LD素子の構造にもよるが、一般的に波長幅が狭く時間的・空間的に可干渉性の良い光源である。
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SLD(Superluminescent diode)光源 |
SLDはFP-LDと同様に、光は導波路内で生成されるが、FP-LDと異なりキャビティを形成しない構造を有するため、自然放出光が誘導放出で増幅された広帯域の波長幅を持った光を出射する。導波路端から出射するため、空間的な可干渉性は高いが、波長幅が広いため時間的な可干渉性は低い特徴を持つ。このような特徴を利用して、SLD光源はOCT(コヒーレンストモグラフィ) や光ファイバージャイロスコープ(FOG)などに利用されている。
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